「お彼岸」という言葉自体は、誰でも一度は聞いたことがあると思います。
しかし、実際にそれがいつなのか、何をしたらよいのかは、意外と知らなかったり、忘れてしまっている方が多いのではないでしょうか。
そこで今回は、私自身も再勉強の意味も込めて、改めて「お彼岸」について詳しくご説明させて頂きます。
お彼岸とは
お彼岸とは、仏教において仏になるために菩薩が行う修行である「波羅蜜」を、7日間かけて行う行事のことになります。
ここでいう「波羅蜜」は様々な解釈があるのですが、日本では大乗仏教に6つの修行徳目があることから、「六波羅蜜」がベースになっています。
また「彼岸」という言葉自体は、「波羅蜜」の意訳であり、迷いや煩悩を川にたとえ、涅槃がある場所に至ったという意味から名付けられたと言われています。
「六波羅蜜」とは以下6つの修行徳目のことです。
- 布施波羅蜜:檀那(だんな、Dāna ダーナ)は、分け与えること。
- 持戒波羅蜜:尸羅(しら、Śīla シーラ)は、戒律を守ること。
- 忍辱波羅蜜 :羼提(せんだい、Kṣānti クシャーンティ)は、耐え忍ぶこと。
- 精進波羅蜜:精進毘梨耶(びりや、Vīrya ヴィーリヤ)は、努力すること。
- 禅定波羅蜜:禅那(ぜんな、Dhyāna ディヤーナ))は、特定の対象に心を集中して、散乱する心を安定させること。
- 般若波羅蜜:般若 (はんにゃ、Paññā パンニャー)は、全ての事物や道理を見抜く深い智慧のこと。
出典:ウィキペディア 波羅蜜より
お彼岸 期間
お彼岸は年に2回、春と秋にあります。
3月:春彼岸(春分の日)
9月:秋彼岸(秋分の日)
これらの日の前後3日間を含んだ計7日間を「お彼岸」と言います。
彼岸の入り
7日間の最初の日のことを「彼岸の入り」と言います。
彼岸の明け
7日間の最後の日のことを「彼岸の明け」と言います。
2021 お彼岸の期間
春のお彼岸
彼岸の入り:3月17日(水)
中日(春分の日):3月20日(土)
彼岸の明け:3月23日(月)
秋のお彼岸
彼岸の入り:9月20日(月)
中日(秋分の日):9月23日(木)
彼岸の明け:9月26日(日)
お彼岸にすること
すること
お墓参り
お墓参りをすることが風習となっていますが、ご自宅でご先祖様に思いをはせるだけでも十分と言われています。
なお喪に服すようなことは必要ありません。
掃除
ご自宅に仏壇がある方は、仏具のお手入れをするようにしましょう。
お供え物
お供え物は、「おはぎ」(ぼたもち)をお供えするのが一般的です。
- ぼたもち:こしあん
- おはぎ:つぶあん
ぼたもちは春のお彼岸、おはぎは秋のお彼岸にお供えするのが良いと言われています。
それは、ぼたもちは春の花である「牡丹」が名前の由来であり、おはぎは秋の花である「萩」にちなんでつけられているからです。
やってはいけないこと
基本的にお彼岸だからといってやってはいけないことというものはありません。
結婚式や結納、新居の購入や車の購入などはしないほうが良いと言われていますが、特に禁止されているようなものではありません。
お彼岸の時期は、何かと忙しいので、上記のようなことを行うと周囲の人に迷惑がかかる場合があるので、避けたほうが良いと言われている程度です。
あまり神経質になる必要はないでしょう。
お見舞い
入院されている方のお見舞いは、可能であればお彼岸の時期は避けたほうが良いでしょう。
お彼岸自体が「ご先祖様の供養」という意味合いがあるために、快く思わない方もいらっしゃいます。
但し、入院の期間が短い場合などでお彼岸の時期にしか訪れることが出来ない場合は上記のような時期であることを理解した上で、お見舞いをするようにしましょう。
まとめ
いかがでしたか。
「お彼岸」の意味を読んで頂ければわかるのですが、本来「お彼岸」に先祖供養の意味はありません。
波羅蜜の考え方が、日本の仏教と結びついて、「先祖供養」の考え方が生まれました。
そのため、お彼岸の行事という風習は日本ならではのものであることを覚えておいてください。
普段からご先祖様への感謝の思いを抱くことはとても大切なことです。
しかし何かと忙しい現代では、ご先祖様のことを思う時間が無くなってしまっているのが現実です。
宗教的な意味合いもありますが、古くからある日本の風習として、この時期は今一度ご先祖様へ感謝の念を頂いても良いのではないでしょうか。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
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