今回は、「防火管理者」新規講習の際に行われる「効果測定」についてご紹介させて頂きます。
試験が得意ではなく、心配になる方もいらっしゃると思いますが、この記事を読んで頂ければ必ず合格点が取れますので、ぜひ参考にしてみてください。
効果測定とは
通常「甲種防火管理新規講習」は2日間に渡って実施されますが、2日目の最後に行われるのが「効果測定」と呼ばれる試験です。
問題数は地域によって若干のばらつきがあると思いますが、およそ10問であることが多いようです。
また試験の形式は正誤問題になっていて、例文の中から正しいもの、または間違っているものを選択する問題になっています。
試験時間
20分
試験方法
テキスト参照可(一部の地域では不可)
採点方法
自己採点
合格基準
6問以上の正解
東京都、鳥取県、岐阜県は問題数、試験方法、採点方法が異なります。
防火管理の意義と制度の概要
Q1 誤っているものはどれか。
- 甲種防火管理新規講習の修了者は、収容人員が30人以上の特定防火対象物に限って防火管理者になることができる。
- 防火管理者は、某管理業務を適切に遂行できる管理的又は監督的な地位にある者でなければならない。
- 収容人員が300人以上の特定防火対象物の甲種防火管理者は、一定期間ごとに再講習を受けなければならない。
Q2 正しいものはどれか。
- 防火管理者は、選任後速やかに消防計画を作成し、消防長又は消防署長へ届け出なければならない。
- 統括防火管理者を定めなければならない防火対象物は、管理権原が分かれているすべての特定防火対象物である。
- 防火対象物の定期点検は、防火管理者の資格があれば誰でも実施することができる。
火気取り扱いの基本知識と出火防止対策
Q3 誤っているものはどれか。
- 煙は、階段室内では毎秒3~5メートルの速さで縦方向に進んでいき、人間の歩行速度よりも速い。
- 火災による煙で最も怖いのが二酸化炭素で、体内の酸素不足を起こすため、頭痛やめまいを起こし死に至ることもある。
- 人間の火災時の行動特性の一つとして、日頃から使い慣れた通路を利用して避難しようとする傾向がある。
Q4 正しいものはどれか
- 指定数量以上の危険物を貯蔵し、又は取り扱う場合は、消防長又は消防署長の許可が必要である。
- 少量危険物を貯蔵し、又は取り扱う場合は、消防長又は消防署長に届け出る必要があるが、廃止する場合は届け出る必要はない。
- 危険物施設の管理は、危険物取扱者又は危険物に関する知識を有する者に行わせる。
Q5 正しいものはどれか
- 南海トラフ地震に関する情報は、警戒宣言として発令される。
- 普段から地震に備えて、防火管理者が中心となり建物や火気使用設備器具等の点検・整備をしておく。
- 防火管理者は、地震発生時の出火防止を最優先とする防災教育を実施する。
施設・設備の維持管理 / 自衛消防
Q6 正しいものはどれか
- 消化用設備等は、消火設備などの「消防の用に供する設備」、防火水槽などの「消防用水」と事業所の自衛消防隊が使用する「消火活動上必要な施設」に分類される。
- 泡消火器は、普通火災、油火災、電気火災すべての火災に有効である。
- 自動火災報知設備の警戒区域一覧図は、受信機に表示された場所がわかるように、受信機のそばに備えておかなければならない。
Q7 誤っているものはどれか
- 自動火災報知設備とスプリンクラー設備が前後して作動した場合は、火災と断定した活動を行う。
- 消火器による初期消火の限界は、天井に火が移る前までを目安とする。
- 2階以上の階で火災が発生した場合は、出火階及び地階の在館者の避難誘導を最優先とする。
Q8 誤っているものはどれか
- 大規模な事業所では、階、棟、テナントで地区隊を編成する。
- 自衛消防活動全体の指揮統制を行う者と拠点を自衛消防本部という。
- 安全防護班の任務は、防火戸や防火ダンパー等の操作や避難器具の設定などである。
Q9 誤っているものはどれか
- 消火器は、風がある場合は風下から放出すると効果的である。
- 屋内消火栓設備は、注水の必要がなくなった場合は速やかにバルブを閉め、水損防止を図る。
- 自動火災報知設備の受信機で火災信号を受信した場合は、火災かどうかが確認されるまでは地区ベルを停止しない。
Q10 誤っているものはどれか
- 消防計画の作成単位は、防火管理者の選任単位と同じである。
- 消防計画は、一度作成したら見直す必要はない。
- 消防計画は、各事業者や防火対象物の実態を踏まえた実効性の高いものでなければならない。
解答と解説
Q1
解答:1
1番の「収容人員が30人以上の特定防火対象物に限って」という部分が間違いになっています。
人数に下限は設けられていません。
2番は記述通りで、防火管理者は「管理的又は監督的な地位にある者」である必要があります。
3番も記述通りで、「収容人員が300人以上の特定防火対象物の甲種防火管理者」は、一定の期間(新規の講習または再講習を受けた日を基準として、翌年の4月1日から5年以内)ごとに講習を受ける必要があります。
Q2
解答:1
1番が正解となります。
防火管理者に選任後、速やかに消防計画を作成し、消防長又は消防署長へ届け出なくてはなりません。
2番は「すべての特定防火対象物」という部分が間違いになります。
統括防火管理者を定めなければならない防火対象物は以下になります。
- 高さ31mを超える高層建築物
- 特定防火対象物(地上階が3階以上で収容人員が10人または30人以上)
- 非特定防火対象物(共同住宅、倉庫、事務所等の複合用途防火対象物で、地上階が5階以上かつ収容人員が50人以上のもの
- 指定地下街・準地下街
3番は近年の複雑化・大規模化した建物の現状を踏まえ、「専門的知識を持つ防火対象物点検資格者に防火対象物の点検を実施させ、その結果を消防長又は消防署長に報告する」こととされています。
Q3
解答:2
1番は記述通り正しい内容です。
2番は、「火災による煙で最も怖いのが二酸化炭素」という部分が誤りになります。
正しくは、「一酸化炭素」で、血液中のヘモグロビンと酸素の200~300倍の速さで結合し酸素不足を起こします。
3番は記述通り正しい内容で、「日常動線指向性」と呼ばれています。
Q4
解答:3
1番は、「消防長又は消防署長の許可」が間違いです。
正しくは、「市町村等の許可」を得る必要があります。
2番は、「廃止する場合は届け出る必要はない」の部分が間違いです。
廃止する場合も「消防長又は消防署長に届け出る必要」があります。
3番は記述通り正しい内容です。
Q5
解答:2
1番は、「警戒宣言」の部分が誤りになります。
南海トラフ地震に関する情報は、「南海トラフ地震臨時情報」として発令され、キーワードとして「巨大地震警戒」が付されて発令される場合があります。
2番は正しい内容です。
3番は間違いやすい問題です。
以前は出火防止が最優先とされていましたが、現在は「身の安全の確保」が最優先とされています。
Q6
解答:3
1番は、「事業所の自衛消防隊が使用する」という部分が誤りになります。
正しくは、「消防隊が使用する」になります。
2番は、「すべての火災に有効である」という部分が誤りになります。
泡消火器は、普通火災と油火災には有効ですが、電気火災には効果がありません。
3番は正しい内容です。
Q7
解答:3
1番は正しい内容です。
2番は正しい内容です。
3番は、「出火階及び地階の在館者の避難誘導を最優先とする」という部分が誤りになります。
正しくは、「出火階及び直上階の者の避難誘導を最優先とする」になります。
但し、これらはあくまでも目安であり、出火場所や火災の程度、煙の拡散状況、消火活動の実施状況等により総合的に判断する必要があります。
Q8
解答:3
1番は正しい内容で、大規模な防火対象物の場合、全体の統括管理を行う「本部隊」と階、棟、テナント等で編成する「地区隊」を編成します。
また「地区隊」の中で複数の業務を行う場合は「班」を編成し隊長を置くなど実態に即して編成します。
2番は正しい内容です。
3番は、「避難器具の設定」が誤りになります。
「避難器具の設定」は、「避難誘導班」の任務になります。
Q9
解答:1
1番は誤りになります。
風下から放出すると消化液が自分の方に向かって戻ってきてしまいます。
風上から放出するようにしましょう。
2番と3番は正しい内容になります。
Q10
解答:2
1番と3番は正しい内容です。
2番は誤りになります。
消防計画は、事業所の組織の改変や、建物の増改築があったときなどは、速やかに消防計画を変更する必要があります。
まとめ
いかがでしたか。
受講前にお読み頂いた方は、少し難しく感じるかもしれませんが、2日間受講を受ければ普通に理解できると思います。
講習中に重要な点は教えてくれるので、そのページをメモしておけば簡単に解答を導き出せると思います。
実際に、受講生の殆どの方が8点~10点くらい取れていますので、あまり難しく考えずに試験に臨んでください。
また試験結果にかかわらず、全員に修了証は発行されますので、ご安心ください。
なお講習自体は非常に有意義な内容になっていますので、しっかりと受講されることをお勧めします。
今回も最後までお読み頂きありがとうございました。