毎年、会社から配られる年末調整の書類の中で、最も提出が必須とされるのがこの「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」です。
「扶養家族がいないから関係ない」と思っていませんか? 実は、この申告書は、配偶者や扶養親族の有無にかかわらず、すべての給与所得者が提出しなければなりません。もし提出しないと、通常よりも高い税率(乙欄)が適用され、大きく損をしてしまう可能性があるのです。
本記事では、令和7年版の申告書を題材に、あなたが記入すべき箇所を「本人情報」「控除対象者」「障害者・寡婦・ひとり親・勤労学生」の3つのカテゴリーに分類し、記入例を交えて詳しく解説します。
記入が必須の「あなたの氏名」から、税金還付に直結する「扶養親族」欄まで、この記事のステップを追えば、迷うことなく書類を完成させることができます。さあ、高すぎる税率を回避するために、一緒に正確な記入を始めましょう!
扶養控除等(異動)申告書 記入方法

出典:国税庁 給与所得者(従業員)の方へより
こちらは、申告書の全体的な記入例になります。皆様が記入すべき場所は、大きく3つのカテゴリーに分類することが出来ます。以下、それぞれの場所について詳しくご説明させて頂きます。
なお、左上にある、 「所轄税務署等」の欄は勤務先が記入する場所になりますので、皆様が特に記入する必要はありません。(記入されていない場合は勤務先にご確認ください。)
①本人情報

個人番号については、記載する必要がない場合があります。勤務先より指示があると思いますが、不明な場合は、勤務先に確認してください。
②控除対象配偶者・扶養親族等

A 源泉控除対象配偶者
以下に該当する場合、記入することが出来ます。
- あなたと生計を一緒にする配偶者、令和7年の合計所得額が95万円以下かつ専従者給与を得ていない場合
- 令和7年のあなたの合計所得額が、900万円以下
適用を受けるには、「給与所得者の配偶者控除等申告書」の提出が必要になります。
B 控除対象扶養親族
以下に該当する場合、記入することが出来ます。
- 居住者の内16歳以上の人
- 非居住者のうち、次のいずれかに該当する人
(イ) 年齢16歳以上30歳未満の人(平成8年1月2日から平成 22年1月1 日までの間に生まれた人)
(ロ) 年齢70歳以上の人(昭和31年 1月1日以前に生まれた人)
(ハ) 年齢30歳以上70歳未満の人(昭和31年 1月2日から平成 8 年1月1 日までの間に生まれた人)のうち、「留学により国内に住所及び居所を有しなくなった人」、「障害者」又は「あなたから令和 7 年中において生活費又は教育費に充てるための支払を38万円以上受ける人」 - 専従者として給与を受けていない
- 令和7年の合計所得額が58万円以下
里子、養護老人の場合、生計が一緒であり、合計所得額が58万円以下であれば該当します。
②障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生

表にある扶養親族は、16歳未満であっても対象となります。
③16歳未満の扶養親族

まとめ
お疲れ様でした!これで「扶養控除等(異動)申告書」の記入は完了です。
この書類は年に一度しか記入しないため、「去年どう書いたっけ?」と毎年戸惑う方も多いかもしれません。しかし、ご説明した通り、あなたが記入する箇所は限られており、仕組みさえ理解すればそれほど難しい作業ではありません。
申告書を正しく提出することは、基本の税率(甲欄)を適用され、払いすぎた税金(源泉徴収額)を適切に還付してもらうための第一歩です。控除対象者(配偶者、扶養親族)の情報を漏れなく、正確に記入することで、最大限の還付を受けることができます。
提出前に、ご自身の氏名やマイナンバー、そして控除対象者の所得の見積額など、重要な情報に誤りがないか最終チェックを忘れずに行い、今年の年末調整を完了させましょう。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
年末調整の概要についてはこちらをご覧下さい。
給与所得者の基礎控除申告書・配偶者控除等申告書・所得金額調整控除申告書の記入方法についてはこちらでご紹介させて頂いております。
保険料控除申告書の記入方法についてはこちらでご紹介させて頂いております。
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