今回は、求職者支援訓練についてご紹介させて頂きます。
新型コロナウィルスの影響を受けて、仕事を失った方や、自営業等を継続できなくなった方には、大変心強い制度ですので、該当される方は、ぜひ受講して再出発の足掛かりにして頂きたいと思います。
求職者支援訓練とは
求職者支援訓練とは、簡単に言いますと、主に雇用保険を受給できない方のための職業訓練になります。
受講するための条件
- ハローワークへの求職者登録
- 雇用保険被受給者
基本的には上記の2つを満たしていれば受講資格を得ることが出来ます。
但し、申し込みの際は、ハローワークで相談をすること、労働の意思があることが必要となります。
雇用保険を受給中であっても、求職者支援訓練を受けることが出来る場合があります。
受講することにより希望職種に就くことが容易になるとハローワークが判断すれば受講することが可能です。
受講するための費用
無料
但し、テキスト代は必要。
コースによっては、別途費用が発生する場合あり。
(料理関係や作業関連など、受講するにあたり必要不可欠な身の回り品の用意等)
コース受講資格
様々な分野の職業訓練コースが用意されていますが、どのコースを受講するにも、特別な資格や経験は必要としていません。
未経験の方が、コースを受講することによって就業出来るようにすることが、本来の目的であるので、全くの未経験の分野であっても就業に必要な基礎的な知識を学習出来るようになっています。
また、就職未経験の方であってもコースを受講することが出来ますので、初めての職場を探している方にも適した訓練となっています。
年齢制限も基本的にはありません。
(現実的には65歳位までか)
職業訓練受講給付金
求職者支援訓練を受講するにあたって、一定の要件を満たす方には、給付金が支払われます。
給付資格
- 本人の月収が8万円以下の方
- 世帯全体の収入が月25万円以下の方
- 世帯全体の金融資産が300万円以下の方
- 現住居以外に、土地、不動産を所有していない方
- 受講コースに欠席のない方(やむを得ない場合を除く)
- 訓練期間中から終了後、指定された日に職業相談を受けることが出来る方
- 世帯の中で、同時に給付金を受けていない方
- 過去6年以内に給付金を受けていない方
- 過去3年以内に不正受給を受けていない方
給付金額
月10万円
通所手当
給付金とは別に、コースに通うための通所手当てが支給されます。
(合理的な経路による運賃)
上限42.500円(地域により違う場合があります)
寄宿手当
月10.700円
通所のための時間が、片道2時間を超え、同居の配偶者等と別居する場合
受給のための注意事項
給付金、通所手当はセットになっているため、給付金の受給資格がない方が、通所手当のみを受給することは出来ません。
また、寄宿手当も給付金の受給資格がない方が受給することは出来ません。
世帯の中で、同時に受給することは出来ません。
夫婦、親子等で同時に訓練を受講することは出来ますが、給付金を同時に受け取ることは出来ません。
求職者支援訓練の申し込みの手順
申し込みの手順は非常に複雑です。
正しい手順で申し込みを行わないと、申し込み日に間に合わなかったり、受講したいコースを申し込めない場合などがありますので、一つ一つクリアして行きましょう。
また一つ一つの手続きに、驚くほど時間もかかります。
時間と心に余裕を持って取り組むことをお勧めします。
訓練受講までの大まかな流れは以下の通りです。
訓練コースの選定から、実際の受講開始までは最短でも2か月ほどの日数がかかると思います。
- ハローワークに求職者登録 (0日目)
- 受講したいコースを調べる (0~7日目)
- ハローワークへ希望する受講コースの相談 (0~7日目)
- 訓練施設での説明会への参加 (7日目~14日目)
- ハローワークで希望コースへの申し込み (14日目~21日目)
- 訓練施設ごとの面接・審査 (21日目~35日目)
- 合格通知 (35日目~42日目)
- ハローワークへ合格の通達 (42日目~52日目)
- ハローワークで給付金に関する書類の作成・就職支援計画書の作成 (42日目~52日目)
- 受講開始 (60日目)
受講コースを調べる (1~3)
まずは、①番のハローワークで求職者登録を行います。
特に持参する必要書類はありません。
免許証等を持っていれば万が一の時も対応出来ると思います。
②の受講コースの検索は以下のサイトをご参照ください。
矢印の求職者支援訓練にチェックを入れて、お住まいの県、または近隣の県にチェックを入れて検索します。
受講できるコースは、お住まいの都道府県だけでなく、近隣の都道府県にも通所することが可能です。
気になるコース、受講したいコースを選んでメモを取るなり、プリントするなりして、保存しておいてください。
③ハローワークでの受講コースに関する相談は、興味を持ったコースの詳細について尋ねることが出来ます。
但し、実際の講義内容や専門的な情報を教えてくれる訳ではありません。
あくまでも相談したという実績が重要になります。
①~③までは、同日に行うことをお勧めします。
まずはご自宅で、気になるコースを見つけて、ハローワークに訪れて、その場で登録、相談という流れが最も手間のかからない順序になると思います。
訓練施設での説明会への参加 (4)
④の説明会についてです。
希望するコースが決まったら、まずは説明会に参加する必要があります。
説明会に参加するには、事前の申し込みが必要になります。
ハローワークで相談しているので、ハローワークから申し込みをすると思いがちですが、ご自身で直接コースの行われる施設に電話連絡をする必要があります。
説明会の開催日は、各施設によって決められています。
また募集人数に限りがある場合もあります。
ハローワークで提示された日時以外にも説明かを行っていることもあります。
必ずご自身で連絡をして詳細を確認することが重要です。
興味のあるコースが複数ある場合は、いくつでも説明会に参加しても問題はありません。
ハローワークで希望コースへの申し込み (5)
ハローワークでの作業の流れ(2~3時間)
受付(支援訓練の申し込みに来たことを告げる)
⇒
番号を呼ばれるまで待機
⇒
書類をもらって再度記入
⇒
番号を呼ばれるまで待機
⇒
書類を渡す
⇒
番号を呼ばれるまで待機
⇒
書類の完成
⇒
各施設へ電話
申し込み最終日の場合は混雑が予想されます。
施設へ連絡する時間も考慮して早めにハローワークに行かれるようにしてください。
申し込みに際しては、ハローワークで書類を作成する必要があります。
その際に、必ず説明会に参加したかどうか問われますので、参加した事を告げてください。
万が一、説明会に参加していないと申込書の作成を断られる場合がありますので、注意してください。
説明会に参加していなくても申込書を作成してくれる場合もあります。
但し、コースを運営する施設によっては、説明会に参加していない時点で不合格とされる場合もありますので、面倒でも説明会に参加しておく方が良いと思います。
書類の申し込みの際に必要となるものは、以下の2点です。
- 縦4㎝×横3㎝の証明写真
- 銀行口座番号(給付金を受ける予定の方のみ)
ハローワークで書類を作成してもらったら、今度は施設に書類を郵送する必要があります。
ご自身で再び施設に電話して、書類の送付方法の指示を受け、面談の予約をする必要があります。
この辺りの手順は各施設によって対応が違いますので、確認の上、指示に従ってください。
書類の作成は驚くほど非効率なシステムで行われています。
少しでも時間の節約を望む方は、以下のページから事前に書類を作成しておくことをお勧めします。
受講申込書(C-1)事前審査書と受講申込書(B-1)をクリックしてダウンロードしてください。
なお、顔写真は貼らずに持って行ってください。
ハローワークで別途書類をプリントアウトされると思います。
東京都厚生労働省 支援訓練
審査・合格通知 (6~7)
⑥の面接は、各施設で、電話で予約した日時に行われます。
施設によってはオンラインで行うこともあります。
基本的に聞かれる代表的な質問は以下のことになります。
- 申し込みの理由
- 受講するコースへの知識
- 就職の意思
- 就職したい業種
- 休まずに通うことが出来るか
⑦の合否の通知は、郵送で行われます。
合否に関する問い合わせは当然出来ませんのでご注意ください。
おそらく重視されるのは、休まずに受講出来るかどうかだと思います。
事前の知識の有無はそれほど重要ではないので、事前に予備知識を備えておく必要はないと思います。
コースによっては予習をしないように指示される場合もあります。
(間違った知識や挫折することを防ぐため)
合格後の手続き (8~9)
無事合格された方は、再びハローワークを訪れることになります。
その際、必要なものは以下になります。
- 各施設から届いた合格証
- 縦4㎝×横3㎝の証明写真
ハローワークでは、就職支援計画書を作成してもらう必要があります。
この書類がないと合格したコースを受験することが出来ないので必ず指定された期日までに訪れてください。
給付金を受給する予定の方は、別途必要なものがあります。
こちらは状況に応じて揃える書類が違うと思いますので、ハローワークの指示に従ってください。
代表的なものは以下になります。
- 住民票
- 銀行口座残高の証明(本人、家族等を含む世帯全員)
- 源泉徴収票(どこかにお勤めされていた場合)
- 確定申告書の控え(自営業の方)
合格後も最低でも2回はハローワークを訪れる必要があります。
合格通知を持参する最初の時に、必ず必要な書類を確認するようにしましょう。
受講開始 (10)
無事すべての書類が整えば、訓練に参加することが可能です。
しかし、受講開始後もハローワークを訪れる必要があります。
受講されるコースや期間によって回数の違いがありますが、半年間ほどの受講であれば、その期間に6回ハローワークを訪れる必要があります。
また、ハローワークの訪問日は事前に決められていますので、正当な理由なく欠席することは出来ませんので注意してください。
(万が一、指定日に訪れることが出来ないと最悪給付金の停止や、退校処分などを課される場合もありますので、注意してください)
受講に関する問題点
求職者にはとても魅力的な制度ですが幾つかの問題点もあります。
下記以外にも沢山ありますが、代表的なものを挙げさせて頂きます。
手続きに手間がかかる
お役所仕事なので仕方ないのですが、効率という概念はありません。
我慢強く決められた手順に従って手続きを進めてください。
訓練コースの数
都道府県によりかなり差があります。
それぞれの地域の予算や人口の問題もあると思いますが、東京はかなり充実しています。
それ以外の地域は関東圏でもかなり見劣りする内容になっていることが多いです。
運よく自分の希望するコースが自宅から近い場所にあれば良いですが、そうでなければせっかく合格しても通学にかなりの時間を取られる可能性があります。
複数のコースに同時に申し込みが出来ない
人によっては悩ましい問題かもしれません。
申し込みしたコースが確実に合格するようであれば問題がないのですが、そうでないので違う方を受けたら受かったかもということが起こりえます。
制度を考えれば仕方がないことなのですが、迷っている方には悩みどころになると思います。
家族で同時に給付金を受給できない
自営業の方や、家族の中で、たまたま同時期に失業された方などは、同時期に訓練を受けても、2人分の給付金をもらうことが出来ません。
受講すること自体は出来るのですが、受給が一人に限られるとなると、10万円のみの支給となり、生活出来るほどのゆとりはなくなります。
(受講の時期が重ならなければ受給することは可能です。)
但し、授業自体は無料なので、お得感はあります。
この辺りはご家庭の事情を考えて、どのような形で受講すべきか検討してください。
受講が必ずしも就職で有利になる訳ではない
訓練コースを卒業すれば、最低限の知識を習得することは可能です。
但し、実際の現場訓練と違いますし、職種による商慣行や人間関係なども影響してきます。
何も身に着けていないより有利ではありますが、給与や待遇面で必ずしも優遇される訳ではないことも頭に入れておきましょう。
(もちろん受講コースによっては優遇されます)
参考までに各コースとも、受講後の就職率は85~90%位と言われています。
授業はハードスケジュール
受講コース、期間によって差がありますが、おおむね1日の授業時間は5時間ほどになります。
学校を卒業して間もない方は慣れていると思いますが、40代以上の方には、かなりハードに感じると思います。
また受講コースによっては土曜日も授業がある場合があります。
真剣に就職先を探すという意思がないと最後まで通うことが出来なくなるかもしれません。
訓練コースに受からない
せっかく受講したいコースを見つけても、合格する確率は日々厳しくなっています。
特に人気のあるコースは、およそ3倍~4倍ほどになると言われています。
また、一度落ちたコースを再度申し込みすることは出来ますが、基本的には何かしら事情があって不合格になっているので、複数回申し込みをしたから受かるという訳ではありません。
(もちろん受かる場合もありますのが2回続けて落ちた場合はあきらめた方が良いでしょう)
なるべく早く就業するためにも、興味のあるコースを複数選んでおいて、不合格になった時は次の講座に申し込みようにしましょう。
なお、開催される講座は月によって違います。
翌月に魅力のあるコースが開催される場合もありますので、合格するまでは毎月チェックするようにしましょう。
まとめ
いかがでしたか。
様々な技能を身につけることが出来る訓練コースを無料で受講出来るのはとても魅力的です。
但し、新型コロナウィルスの影響もあり、各コースの人気が上がっており、合格する確率がかなり低くなっています。
受講前にハローワーク等で十分な情報を取集しておくことをお勧めします。
また一度受講すると、次回受講出来るのは6年後になります。
受講コース選びは慎重に行ってくださね。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
次回は、もう一つの職業訓練、公共職業訓練についてご紹介させて頂きます。
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